カテゴリ:トレーニング論( 4 )

マラソン・トレーニング 第 0 章

 フルマラソンを走ったことのない人から、どうすれば走れるかアドヴァイスがほしいと、例によって呑み屋で頼まれました。でも、呑みながら練習方法を伝えるのはなかなか難しいので、実践的な練習方法やスケジュールをまとめてみることにしました。
このトレーニング論は、毎回、呑み屋の議論から始まります。ランナーという種族は、議論好きなのでしょうか?

フルマラソンを走ってみたいと思った方は、是非、初志貫徹してフルを走ってみてください。フルを初めて完走したときの感動は何物にも換えがたいものだと思います。
今の日本人の生活で、フルを走るほど身体を使うことはまず、ありません。そのために、私たちの身体能力は、潜在的なまま発掘されないで終わってしまうことが多いでしょう。でも、やってみると自分が意外な能力を秘めていることに驚きます。
フルを走ってみようという、とても意欲的な方に、このトレーニング論が参考になれば、とても嬉しいです。

1 42.195キロを走りきるスタミナをつけること

  走るためには、スタミナとスピードが必要です。しかし、フルの場合は距離が半端ではないので、まずスタミナをつけることに重点を置きます。スピードは、基本的なスタミナがついてきた後にまわします。それに、スタミナがついてくると、それに伴って、スピードの持続力が向上してくるという効果も期待できます。
  スタミナをつけることにポイントをおいたときは、練習の目安は距離ではなくて、走る時間、即ち体を動かしている時間です。だから、スピードははっきり無視します。
最初は、30分から始めましょう。思いっきりゆっくりでいいです。歩いている人に抜かれても気にしなくていいくらいです。
走っているのに、歩いている人に抜かれるなんてみっともない、と思うでしょうか?     確かにかっこよくはないでしょう。でも、それより何より、誰も、貴方のことを気にしていないでしょう。だから、周りの目など気にする必要はありません。
走る時間は、30分から始めて、少しづつ延ばしていきます。180分くらいまで延ばしていければ理想的なのですが、ほとんどの人は120分で十分でしょう。これも毎回ではなくて、普段は30分か、それより少し長い時間走る日にして、週に1回は120分走る日というようにメリハリをつけるようにします。

2 週に3~5回、練習すること

  フルを走りきる体力をつけるということは、端的に言って肉体改造です。ですから、週に1,2回では無理です。最低、週に3回、できれば5回走ることです。最初は週3回から始めて、週に4回、5回と増やしていくことです。
  しかし、普通は週に5回が限度です。走ることの好きな人はストイックな人が多いようで、毎日走らないと気がすまないという人が、ときどきいますが、身体のためにはよくありません。休養も必要です。
週単位で、2日走って1日休み、3日走って1日休みというのが理想的です。
 それから、長く練習を続けて怪我をしないこつは、同じ練習を2日続けてしないことです。30分走でも、次の日は違うコースを走るとか、もし靴が2足あるなら、次の日は違う靴をはくとかという小さな違いでもいいです。コースや靴によっても、脚にかかる負担は微妙に違います。同じ部位に同じような負担を重ねてかけるより、分散して全身の強化を図る方が怪我をしにくくなります。

3 既に走り込んでいる人の場合


  フルのレースに出たことはないが、既に10Kやハーフのレースに出たことがある人や週に何回か、10キロずつ走っているという人もいると思います。
 そういう人でも、練習の基本的な考え方は、1,2に書いたのと同じです。ただ、そういう人は、1,2に書いたより、もっと多くの練習量をこなせるだけの地力がついていると思いますので、自分の今までの練習量や体力にあわせて、これからの練習量を計画してみてください。
フルを始めて走る人のレベルでは、怪我をしないように気をつけながらですが、練習量は多ければ多いほどよいと言っていいでしょう。少しずつ、無理をしないで、練習量を増やしていってみてください。

4 練習の質と量


  最初のうちは、スタミナをつけることが基本ですので、練習の量を重視しています。しかし、練習の質という側面もあります。段々、走力がついてくるにつれて練習の質のウエイトが増してきます。
 最初のうちは、混乱するといけないので、質を気にしないほうがいいくらいですが、将来の走力アップに向けて、どういうことが出てくるのかということを簡単に紹介すると、スピードとフォームです。
  スタミナがついてくるにつれて、スピード練習のウエイトが増してきます。フルを何回か走ると、いずれタイムの限界が見えてきます。その段階ではスタミナは十分なのですが、スピードがないためにタイムが停滞するのです。その壁を突破するためには、もうスタミナ練習だけでは難しくなり、スピード練習が必要になります。逆に言えば、壁にぶつかる段階に達するまでは、スタミナ本位の練習で十分です。スタミナの基礎が固まってないところで、スピード練習をしてみても、フルのレースではほとんど役に立たないでしょう。
  スピード練習では主に心肺機能の強化を狙いとしていますが、スピードを支える、もう一つの要素がフォームです。そしてフォームとは走る技術です。技術を磨くことによってもスピードはついてきます。この辺に興味のある方は、マラソン・トレーニングの第2章を読んでください。

5 ストレッチを必ずすること

  走る練習をすると、身体に、想像以上に大きなダメージを与えます。2で書いたように休養の日を設けることが第一ですが、練習をした日も、練習の後、ストレッチを必ずするようにします。
  最初のうちは、特にアキレス腱と腿の筋肉(大腿四頭筋)をしっかりストレッチしましょう。ゆっくり、反動をつけないで、最低1分間は伸ばすようにします。
それから痛みが出たら、基本は休むことです。痛みにも大きく2種類あって、ドーンという鈍い痛みと、きりっという鋭い痛みです。ドーンというのは、走っていると痛みがなくなってくるので、これは走っても大丈夫です。逆に、きりっという痛みで、走っても痛みが消えないときは走ってはいけません。きりっという痛みは、筋肉が断裂している可能性があるので、ストレッチは絶対にしてはいけません。こういうときは、思いきって休むことが大事です。目安は3週間です。
せっかく練習してきて3週間も休んだら元も子もないと思うでしょう。その通りです。ですから、怪我をしないように気をつけることが大事です。そして、そのための非常に有効な方法がストレッチです。
アキレス腱を痛めた後の練習再開時で気をつけることは、柔らかい所は走らないことです。アキレス腱を痛めているときに走るポイントは、硬い路面を選んで走ることです。それにより、アキレス腱に与える負担を軽減できます。
逆に、膝を痛めているときには硬い路面は禁物です。川の土手や公園、芝生の上など、柔らかい不整地を選んで走ります。膝にかかる負担を小さくするためです。それから、長距離走で膝を痛めるときの原因として多いのは、腿の筋肉の劣化です。ですから、腿(大腿四頭筋)の強化とストレッチを小まめにやっておけば、膝の痛みがでることを避けることができます。
強化のためにはスクワットが有効です。これも長距離ランナーの場合には、深いスクワットではなく、ハーフスクワットで十分です。
 
肉体を改造していくということは、自分の身体との対話です。自分の身体に敏感になることが必要です。こんなことは普段の生活では必要のないことです。ですから、フルを走る身体を作るということは、極めて知的な営みだと思います。

6 基本的な練習計画―――6ヶ月プラン

  つくばマラソンは、11月の最後の日曜日に行われます。それまでに6ヶ月あります。
本格的な練習計画は直前3ヶ月で作ります。それまでは、直前3ヶ月の練習プランをこなせるだけの基礎体力を養うことがポイントです。
  直前3ヶ月の練習計画では、ハーフのレースに出ることと、30キロの自主練習を行います。このため、前半3ヶ月では、そのための準備を意識して、月単位で、練習の強度を上げていきます。

5月  走る練習開始
週に3回走ることを習慣にする。それより走れれば、勿論、その方がよい。但し、休養を忘れずに。

6月  走る時間を延ばす。休み休みでいいから、1回120分までいけばOK.

7月  暑くなるまでは走る時間を延ばす。気温が25度以上のときは無理をしない。給水は小まめに行う。

8月  練習量を落とす。その代わり、スピードを上げてみる。スピード練習は、インターバルのような細切れでも30分が限度。

9月  本格練習開始。その内容は、8月までの肉体改造の進み具合で変わってきます。

10月  ハーフのレースか30キロ走。

11月  レース3週間前からは、本番に向けた体調の調整。練習量は思いっきり落とす。
     レース本番。楽しく完走できれば、それで十分。

      直前3ヶ月の練習メニューは、その時期がきたら相談しましょう。
      こつこつと、楽しみながら練習を重ねていってください。

                                                     by Y岡さん
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by koshigayamc | 2009-05-04 11:27 | トレーニング論

マラソン トレーニング論①

○ マラソン・トレーニングの方法は、ほぼ確立している!



 自分の現在の実力を見極め、適切な目標を設定して計画的・段階的にトレーニングを積んでいけば、かなりの確度で目標達成に必要な実力の向上が期待できる。


○ 練習の質を高める!


 LSD主体の練習だと、3時間30分前後(人によっては3時間20分前後)
で壁にぶつかり停滞する例が多い。しかも、このレベルでは、スタミナ十分な場合が多い。


 では何故、停滞してしまうのかと言うと、基礎スピードがないからである。従って、この段階では基礎スピード(あるいはスピードの持続力)の強化が重点課題となる。スタミナは既に十分な場合が多いので、更に強化しても大きな効果は期待できない。それより、練習の質を高める方が効果的である。



 壁にぶつかるということは、1ランク上のレベルに向上するための出発点に到達したということ。壁にぶつかって、もう限界だと諦める人がときどきいるが、ここが正に スタートライン。 そしてジャンプするためには、練習方法の見直しが必要。


○ インターバル・トレーニングでは速くならない!



 基礎スピードの強化といっても、インターバル・トレーニングを行うのは 些か短絡的。

3時間30分でフルを走るためには、5分/Kで走りきればよいので、200mや400mのスピードを鍛える必要はない。


 必要なのは、3時間30分なら、5分/K のスピード持続力。3時間15分なら、4分40秒/Kのスピード持続力である。


○ ペース・ランを組み込む!


 レースのペースを基準にして、それより緩やかなトレーニングのペースを設定し、これで一定の距離を走りきるトレーニングがペース・ラン。
レースより緩やかだが、LSDよりは速いペース。これでスピードの持続力を強化することができる。


○ ペース・ランの方法


    フルの目標    レース・ペース    トレーニング・ペース


    3時間       4分10秒/K     4分30秒~5分30秒/K


    3時間15分   4分40秒/K     5分~6分/K


    3時間30分    5分/K        5分15秒~6分15秒/K



  • 距離とペース設定

    •  30Kが一応の目安(福祉村 17R; 皇居 6R など)

    • 本番のレースに向けた、3ヶ月のトレーニング期では、25Kくらいから徐々に距離を延ばし、35Kぐらいまでやる。

    • それ以前の走りこみ期では、25Kぐらいで十分

    •  ペースの基本は、1K当たり、レース・ペース + 30秒
      意外と遅いなという印象を受けるが、このペース設定が一番効果的だと言われている。

    • 応用編で、ペースに幅を持たせたいときは、 短いときは速めのペースで、長いときは遅めのペースで。




 ペース・ランは一定のペースで、余裕をもって走りきることが重要。 これを毎週1回やっていると、徐々に楽に走りきれるようになる。


○ 現在の実力の把握


 フルのレース・ペースで福祉村を5Rしてみる。これの結果次第では、目標の設定ペース自体の見直しも必要になる。 トレーニング期にもこれをやってみて、仕上がり具合をみる。



○ 脚筋力の強化(更なるステップアップのために)


  坂道のアップダウンが効果的。強化のために一番効果的なのは坂道トレーニング。

ただ、負担が大きいので、ストレッチを入念に!


○ 期分け




  • 走りこみ期(トレーニング期の前の段階)

    スタミナ養成など基礎的な体力の強化に重点




マラニック、LSDなど


トレーニング期の本格的なペース・ランに向けては、やや短めのペース・ランをせいぜい週1回の頻度で。


また、5Kや10Kのレースに出るのもいいスピード練習になる。




  • トレーニング期(本番のレース前、3ヶ月)

     本番を意識した距離とスピード

      ペース・ラン主体

      レースと同じか、若干速めのスピード練習




  • 調整期(直前2~3週間)

      この時期まできたら、もう実力は伸びない!

      疲労抜きに重点



 計画の達成状況とタイムトライアルで仕上がり具合を確認し、目標タイムを最終調整する。


○ トレーニング期の練習計画 


 週単位で練習計画をつくる。

 ポイント練習は、ペース・ランとスピードラン(それぞれ週に1回ずつ)

 ペース・ランの距離は徐々に延ばしていく。

     40K走までいけば理想的だが、村20Rでもいいかも。

     練習で皇居8Rのタイムで、フルの本番が走れるという噂もある。

 後半1ヶ月は、レースと同じペースまで、ペースを引き上げる


 ポイント練習の前後は、きちんと抜く日にする。 同じ練習は、2日続けてしない。




  トレーニング期に出るハーフなどのレースは、練習の一環だから、タイムに一喜一憂することはない。それより練習の進み具合や体調をみるバロメーターだと考える。


○ 体調の管理、特に休養


 練習計画を実施していく過程で、即ち段階的に練習をきつくして実力を引き上げていく過程で、一番注意すべきは故障(けが)。

 練習がきつくなるにつれ、身体に与えるダメージや疲労は当然大きくなるので、体調に敏感になること。


 練習計画の柱は、強化と休養。今日は調子がよくないと思ったら、練習計画を柔軟に変更したり、堂々とサボる方がよい。

 このレベルでの走行距離の目安は、1週あたり70~90Kと言われている(勿論、メチャクチャ個人差があるので、飽くまで目安ですが)。
これでは少ないと感じる人が多いと思うが、練習の質を上げているので、もっと走らないと気がすまない人は、ジョグにしておくように薦める。


 また、ストレッチが必須。 それでも故障が続くという人は、フォームの点検が必要かも知れない。


○ レース距離と追い込み度の関係


  1500   5000   10000   ハーフ   フル     


  100%    95%   90%    85%   80%


  1500の追い込み度を100%とすると、概ね、上記のような関係だと言われる。大雑把な目安として。

  遊びで、この相関表に自分のタイムを並べてみると、自分のウイークポイントが分かる。



○ ニコニコペースは意外に速い!



    ニコニコペースの練習だけで速くなった! と言う人がいるが、そのニコニコペースとはどれ位の速さかと聞くと、フル本番のレースの速さだという。(ランナーズに載っています。)


そりゃあ、いつも本番のレースペースで練習すれば速くなるでしょうが、ちょっときつすぎる。お薦めできない。




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by koshigayamc | 2001-02-20 00:00 | トレーニング論

マラソントレーニング論②

マラソントレーニング 第2章  by吉岡さん

「マラソン・トレーニングについて」を読んだ方から、幾つかの問い合わせをいただきました。記述が不十分なため分りにくいところがあって、失礼しました。何せ、これは、飲み屋での仲間内の議論から始まったものですので、ただ、一時の勢いで書いちゃったものですから。
 読んでいただいた方にはお礼を申し上げます。

そこで、とりあえず、第2章として、補足説明を書きました。
 いただいた質問は、

○ どうすれば効率よくスピードがつくのか?
○ ペースランのペースの設定に幅がありすぎて、わかりにくい。
○ インターバルには本当に効果はないのか?、

などです。

実際はどうなんだ!編

○ スタミナは忍耐力、スピードはスキル

どうすれば、スピードがつくのか? というのは、ランナーにとっては究極の疑問だと思う。
それの答えは、スピード持続力の養成だというのが、筆者の基本的立場であるが、その大前提のうえで、フルを3時間なり、3時間30分なりで走ろうというレベルに達した人については、もう一歩、奥の深い走る世界に踏み込むと、走ることが一層面白くなると思う。

それは、体力の強化だけでなく、走る技術に目を向けることである。
ジョギングもスポーツの1種である以上、技術があるはずなのに、これほど技術について語られることのないスポーツは、他にないのではないか。テニスでも、野球でも、サッカー、スキー、何でも上手い下手があるのに。

では、走る技術とは何かというと、フォームである。フォームがよければ効率のよい走りができる。それが上手い走りである。

  走りのペースを決めるのは、ストライド × ピッチ であるが、3分/Kくらいまでは、ストライドのウエイトが大きいというデータがある。つまり、ピッチを速くするより、ストライドを大きくすることを意識する方が身体にあっているということ。

  ストライドを意識するといっても、野口みずきのように走れということではない。高橋尚子はピッチ走法の代表といわれているが、実は高橋尚子のストライドも、我々からみると非常に大きい。
  それは何かというと、両太ももの前後の動きである。膝がきちんと前にでているかどうかだといってもよい。
  しかし、膝から下の蹴り出しはしない。蹴り出しをしてしまうとストライド走法になってしまう。膝から下は、そのまま地面にまっすぐ落とせばよい。意識としては、両太ももの前後の意識に集中するとよい。

 5000のトラックレースに出ると色々な意味で刺激になる。我々の場合、速い人から周回遅れになるのは当たり前。ひどいときは、12周半の間に3周抜かれたことがある。最初はちょっと傷つくが、毎回になると周回遅れでも気にならなくなる(まあ、主催者の方は、いい加減にしてくれ、進行の邪魔だと思っているでしょうが、勘弁してもらいましょう。)。
抜いていく人を観察する余裕まででてくる。

  そして、よく観ると、抜いていく速い奴と自分とでピッチはさほど変わらない。違うのはストライドである。一歩一歩が違うのである。敵は、一歩一歩、跳んでいる。まさしく全身で跳んでいる。なるほど、走るとは跳ぶことなんだと実感する。こっちはといえば、べたべた這っているようなものだ。
   
  そうすると、走るためには、何といっても脚筋力の強化が第一。 更に脚筋力だけでなく、全身、特に上半身も鍛えなければ駄目なんだということが分る。
  脚筋力の強化に有効なのは坂道トレーニング。クロスカントリーもよい。普段の練習から、意識的にアップダウンのあるコースを走るようにするとよい。
  しかし、脚筋力だけなら走ることだけで鍛えられるが、上半身はそれだけでは無理。補強が必要ということになる。フォームを意識することと、そのフォームを支える筋肉を作っていくことが、ストライドを延ばすことにつながる。

○ ペースランの組み合わせ
   
   第1章で書いたペースランでは簡単すぎちゃう、物足りないという人向けに。
   設定ペースの上限のタイムで、短めの距離(15Kくらい)のペースランを行う。例えば、基本のペースランを週1回で2週やったら、3週目はハイペース・ランにするとか。
   これでも余裕のある人は、土曜日にハイペース・ラン、日曜日に基本ペースランというセットもあり。とにかくペース・ランは余裕をもって終わることが大切。徐々に走力を引き上げていくので、焦らないこと。

○ スピード練習 

   インターバルには効果は全くないのか、というと実は効果はある。それは、スピードをつけるというよりは、調子を引き上げる効果である。例えば、1000×8のインターバルを実際に週1~2回やるとわかるが、1000のタイムが段々よくなって、キレもよくなる。
   おっ! スピードがついてきたかな! と思うが、ところが1月ほどで頭打ちになってしまう。そして5000のタイムトライアルをやってみると前回と変わらなくてガックリ!! ということが圧倒的に多い。
   つまり、インターバルは、その人の現在の走力を前提にして、そこでまだ眠っているスピードを引き出す効果はあるが、現在の走力自体をランクアップさせるものではない、ということ。
走力自体のランクアップのためには、よりハイレベルなスピード持続が必要になるので、そのような練習、つまり5000なら5000を意識したペース・ランが最も有効である。

   インターバルによって調子を引き上げることは期待できるが、それは長続きしない。しかし、このような特徴をわきまえてこれを利用するのは有効である。
   それは、レースの1~2月前にインターバルを組み入れるという練習計画で、こうすることにより本番を最高の調子で迎えるのである。つまり、インターバルはその時期に行えば、十分有効な武器になる。

   基礎スピードを引き上げるというのは、最も困難な課題であると思う。
   このためには、練習のピラミッドを基礎から少しづつ大きくしていくことが、時間はかかるが王道ではないか。

                                練習量
   上部    スピード練習               少い
   中部    ハイペース・ラン             少い
   下部    ペース・ラン、坂道トレーニング    中くらい
   最底辺   LSD、マラニック             多い

   最底辺の練習ばかりやっていてもスピードはつかない。また、他方、いきなりスピード練習をやっても、真ん中の支えを無視しては、最底辺と切り離されたままで、効果が期待できない。
   練習のピラミッドを意識して、最大の効果を引き出すように練習メニューを組み合わせることが、計画づくりの要諦だと思う。


  またまた、疑問がでてきたぞ、という方がいらっしゃいましたら、織田フィールドか健康福祉村で声をかけてください。拙い文章に最後までお付き合いいただき、有難うございました。
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by koshigayamc | 2001-01-19 00:00 | トレーニング論

マラソントレーニング論③

マラソントレーニング 第3章  by吉岡さん


 今回は、レースに向けての練習の仕方を実践的に書きます。第1章、第2章の記述では、まだ分りにくいと悪評さくさくなので、思いっきりハウツーでいきましょう。
 是非、この第3章を参考にして、そして実際にトレーニングを積み重ねて、自己ベストを更新してください。
 なお、第3章では、目標のレースで目標タイムを狙うための走り方について書きます。レースの楽しみ方は人により色々です。フルマラソンの完走回数を重ねることに生きがいを感じている人、毎週全力でレースに臨んでいる人など、レースは様々な楽しみ方ができますが、第3章では目標のレースで最高のパフォーマンスを実現するための方法に絞って書きますので、その点、ご容赦下さい。
 
 ランナーで東京国際女子マラソンを知らない方はいないでしょう。女性の市民ランナーにとっては最高の晴れ舞台です。
 私の友達は、毎年、そのレースに出るたびに、ユニフォームを新調します。最初に聞いたときはびっくりして、何でそんなことをするの? と聞いてしまいましたが、彼女の答えは、「これが私の最高の発表の舞台だから。」でした。
 成るほど、男と女は違うものなんだなと思いましたが、半面、そこまで気持ちを入れて走っているのか、と感銘を受けました。
 1年にたった1回しかないレースのために、1年間練習を積み重ねていく。彼女は、月に1回くらいの感じでレースに出ていますが、それはすべて東京国際女子のための練習にすぎないのです。

 こういう目標の設定が決定的に大事です。毎週、好調に走る必要はありません。自分の狙ったレースで目標タイムを達成すればよいのです。
それ以外は、すべて練習にすぎない。
ところが、一番大事なフルの1週間前にハーフに出て、しかも全力で走ってしまい、翌週のフルに疲れを残してしまう人がいます。せっかく1年間練習を積み重ねてきたのに、自分でぶちこわしてしまう。もったいない限りです。
これがまた面白いことには、そういう人に限って、体力の限界だなどと言う。
そんなことはありません。ちょっと練習計画がおかしいだけで、貴方の体力はまだまだ記録を狙えるところにあります。Hさん、Sさん、やめちゃ駄目ですよ。

  この12月から3月までの練習計画をちょっと見直すだけで、3月、4月に本番のレースのある方はいい結果を残せると思います。せっかく実力があるのに、練習計画や直前2週間の調整が不十分なために結果が出ないのは残念です。

レース前 3ヶ月の練習計画の作り方

1 目標タイムを明確にする

   サブスリーなり、3時間15分、3時間30分など、自分で決める

2 レースでは、イーブンペースで走るのが一番効率がよい。
    目標タイムから、イーブンで走りきると仮定した場合の5Kのタイムを算出する

       フルの目標タイム      5Kのタイム
         3時間            21分15秒
         3時間15分          23分
         3時間30分         25分

参考  フルの5Kのタイムと5Kの自己ベストとの関係
      フルをイーブンで走りきるための5K設定タイムと、その人の5Kの自己ベストとの関係は、女性で1分、男性で1分30秒と言われている。
   しかし、中高年男性の場合には、2分とみておいたほうが安心。
   そこで、フルの目標タイムと5Kのベストタイムとの関係は次のようになる。

      フルの目標タイム     5Kのベストタイム
       3時間            19分15秒
       3時間15分          21分
       3時間30分          23分

     この表から言えることは、例えば、最近の5Kのベストが22分の男性は、スタミナ練習をきちんと行えば、
フルを3時間30分で走り切れる可能性が高い。
3時間15分を切るのは難しい。従って3時間15分を狙って走ると、後半オーバーペースで苦しむ確率が高い。

3 毎週1回、ロングのペースランを走る
   これがメインの練習。これをしっかりやれば後半のペースダウンはないし、これをしないと後半必ずペースダウンすると言えるくらい、ポイントとなる練習。
   ペースは、1Kあたり レース・ペース + 30秒 
     

      フルの目標タイム    ペースランの設定ペース
         3時間           23分45秒
         3時間15分        25分30秒
         3時間30分        27分30秒

   ペースランの距離
      25Kから35K
      
   このペースランを本番のレースの3ヶ月前から毎週1回ずつ、そして、距離は25Kから少しずつ延ばして、35Kまでもっていく。
   
4 もう一つのポイント練習
   更に、スピード系の練習を、同様に週1回行う。
   1K × 8本、  2K × 4本  など
   ペースは、本番のペースか、それよりやや速めで。

       フルの目標タイム     スピード練習の設定タイム
         3時間        3分45秒 ~ 4分15秒 / K
         3時間15分 4分 ~ 4分30秒 / K
         3時間30分 4分30秒 ~ 5分 / K

5 従って、ポイント練習は、週2回、スタミナ系とスピード系と。
  
 練習計画の一例
    12週前     25K                  スピード系
    11週前     27K                     〃
    10週前     29K                    〃
     9週前     15K のハイペースラン         〃
     8週前     31K                    〃
     7週前     33K                    〃
     6週前     35K                    〃
     5週前     15K のハイペースラン         〃
     4週前     33K                    〃
     3週前     35K                    〃
     2週前     15K のハイペースラン         〃
     1週前     10K をレースペースで         〃

6  この3ヶ月の間に、10Kやハーフのレースに出るのはよいが、あくまで本命レースのための練習と位置づけて、頑張りすぎないこと。
   例えば、東京国際女子に出るある人は、その3週間ほど前にある手賀沼ハーフは練習と割り切って、K 4分で走ることにしている。その人の走力からすると、ハーフはもっと速く走れるのだが、全力を出し切ると、東京国際女子までに疲れが抜け切らないからだという。
   それから、5に書いた練習計画が完璧にこなせなくても気にしない方がよいでしょう。仕事や付き合いで、練習がままならないのは、むしろ普通。8割もこなせればいいかな、ぐらいの感覚でいいと思います。

    では、こういう練習をそこそこやった場合の結果を書きます。特に5Kごとのラップと後半の落ち込み具合をみてください。

   参考例 Total 2°54:33  

     5K  10K  15K  20K  25K  30K  35K  40K  Goal
    20:40  20:26   20:13  20:09 20:24  20:24  20:41  21:40  9:56


  練習計画を少し見直すことで、結果も変わってきます。納得のいく結果を出されることを祈ります。
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by koshigayamc | 2001-01-18 00:00 | トレーニング論


越谷マラニッククラブ(越谷MC)は、ランニングを愛する人たちのあつまりです。活動の中心は、埼玉県県民健康福祉村(越谷市)です。


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越谷MCの紹介

 越谷MC(越谷マラニッククラブ)は、埼玉県越谷市を中心に活動するマラソン・ジョギング愛好家の団体です。各地のマラソン大会にも多く参加していますが、会の由来にもあるとおり、マラニックを中心とした自由気ままなランニングライフを愛する個々人の集まりです。
 練習の中心は埼玉県越谷市にある埼玉県県民健康福祉村で、毎月第一土曜日に練習会を開催しています。


・越谷MCについて(会費など)
・練習場所
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・主なマラニックコース
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